この記事では、クラウドストレージを導入すべき条件と、実は使わなくても問題ないケースについて解説します。
「うちもそろそろクラウドストレージを導入したほうがいいのかな…」と漠然と考えていませんか?「周りの会社が使っているから。」「なんとなく時代遅れな気がするから。」という理由で導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
クラウドストレージは便利なツールですが、すべての会社に必要なわけではありません。今回は「本当にあなたの会社に必要なのか」を判断するための条件を整理してみました。
まず、クラウドストレージを導入したほうがメリットが大きいケースを見ていきましょう。
取引先やフリーランスの方とファイルをやり取りする機会が多いなら、クラウドストレージは強い味方になります。
メールにファイルを添付する方法だと、容量制限に引っかかったり、「どれが最新版?」と混乱したりしがちですよね。クラウドストレージなら共有リンクを送るだけで済みますし、相手が編集した内容もリアルタイムで反映されます。
特に以下のような業務が多い場合は導入効果が高いです。
社員が自宅やカフェなど、オフィス以外の場所で働くことがあるなら、クラウドストレージはほぼ必須と言ってもいいでしょう。
「会社のパソコンにしかファイルがない」という状態だと、リモートワーク中に必要な資料を確認できません。VPN(仮想プライベートネットワーク)を使って社内サーバーにアクセスする方法もありますが、設定が複雑でスモールビジネスには少々ハードルが高いのが正直なところです。
クラウドストレージなら、インターネット環境さえあればどこからでもファイルにアクセスできます。急な在宅勤務が必要になったときも慌てずに済みますよ。
本社と支店がある、あるいは社員がスマートフォンやタブレットでも仕事をする、といった環境では、クラウドストレージの恩恵を大きく受けられます。
例えば営業担当が外出先でスマートフォンから提案資料を確認したり、出張先のホテルでノートパソコンからデータを更新したり。「あのファイル、会社に置いてきちゃった…」というトラブルを防げます。
「パソコンが壊れたら、今までのデータが全部消える」という状態は、ビジネス上のリスクとしてかなり大きいですよね。
クラウドストレージにデータを保存しておけば、パソコンの故障はもちろん、火災や水害などの災害時にもデータを守れます。事業継続計画(BCP)の観点からも、重要なデータのクラウド保存は検討する価値があります。
では逆に、無理にクラウドストレージを導入しなくても問題ないケースも見ていきましょう。
ファイル共有が社内メンバーだけで完結していて、全員が毎日同じオフィスに出勤しているなら、社内のファイルサーバーやNAS(ネットワーク接続ストレージ)で十分かもしれません。
NASとは、ネットワークに接続して複数人でファイルを共有できるストレージ機器のこと。初期費用はかかりますが、月額料金が発生しないので、長期的に見るとコストを抑えられる場合があります。
業種や契約によっては、「データを社外のサーバーに置いてはいけない」という制約がある場合もあります。
もちろん主要なクラウドストレージサービスは高いセキュリティ水準を持っていますが、取引先との契約で「オンプレミス(自社管理のサーバー)限定」と定められているケースでは、クラウドストレージは選択肢から外れます。
「共有するファイルは週に数件程度で、メール添付で問題なく回っている」という状況なら、あえてクラウドストレージを導入する必要はないかもしれません。
現状で業務がスムーズに回っているのに、新しいツールを導入すると、使い方を覚える手間や、慣れるまでの混乱が発生します。「困っていないものを変える必要はない」というのも、立派な判断です。
クラウドストレージは多くの場合、月額または年額の利用料がかかります。Google WorkspaceやMicrosoft 365のようなビジネス向けプランだと、1人あたり月額1,000円〜2,000円程度が目安です。
5人で使えば毎月5,000円〜10,000円、年間で6万円〜12万円の出費になります。この金額を払うだけの価値があるかどうかは、導入効果と照らし合わせて慎重に判断したいところです。
動画編集、3DCGレンダリング、CAD設計など、1ファイルが数GB〜数十GBになるような業務では、クラウドストレージがかえって足かせになることがあります。
理由はシンプルで、インターネット回線の速度がボトルネックになるからです。
最近のオフィスでは1Gbpsクラスの光回線も珍しくありませんが、実際の転送速度は理論値通りにはいきません。回線の混雑状況、クラウドサービス側の帯域制限、同時接続数などの影響で、大容量ファイルのアップロード・ダウンロードには想像以上に時間がかかることがあります。また、頻繁に大量のデータ転送を行っていると、プロバイダから帯域制限を受ける可能性もあり、他の業務にも支障が出てしまいます。
私たちも以前、クラウドレンダリングサービスを運用していた経験がありますが、大容量データの転送時間は常に課題でした。こうした業務では、高速なローカルストレージ(SSDやNAS)を使い、必要なものだけをクラウドに同期する、という使い分けのほうが効率的です。
また、大容量データを大量に保存するとなると、クラウドストレージの月額料金も跳ね上がります。1TB、2TBと容量が増えるごとに料金プランも上位になるため、コスト面でも注意が必要です。
以下の項目に3つ以上当てはまるなら、クラウドストレージの導入を前向きに検討してよいでしょう。
逆に、1つも当てはまらない場合は、今すぐ導入する必要はないかもしれません。
クラウドストレージは確かに便利なツールですが、導入すれば自動的に業務効率が上がるわけではありません。大切なのは「自社の業務で本当に必要か」を見極めることです。
外部共有やリモートワークが多いなら投資価値は高いですし、社内完結でオフィス固定なら他の選択肢もあります。「周りが使っているから」ではなく、自社の状況に合わせて判断してくださいね。
もし「うちの場合はどうだろう?」と判断に迷ったら、お気軽にご相談ください。スモールビジネスの視点で、最適な選択肢を一緒に考えましょう。