スモールビジネスの成功を実現する超・効率化メディア

スモールビジネスの業務効率化に役立つAIプロンプト入門

本記事では、特別な技術知識がなくても実践できる、ビジネスの効率化に役立つAIプロンプトの書き方の基本から応用までをご紹介します。

スモールビジネスにとって、限られたリソースをどう活用していくかは常に課題として感じている方も多いでしょう。そこで注目したいのが「生成AI」そしてそれに対して使われる「AIプロンプト」です。

AIプロンプトとは、ChatGPTやClaude、Geminiなどの生成AIに対して出す指示のことです。このプロンプトの質によって、AIからの回答の質が大きく変わります。つまり、良いプロンプトを書けるようになれば、AIというパワフルなツールを最大限に活用できるようになります。

生成AIに最適なAIプロンプトを使って、業務を超効率化しましょう!

※本記事は2025年4月時点の情報に基づいています。AIツールの機能や利用方法は日々進化していますので、最新情報をご確認ください。

AIプロンプトの基本:よりよい回答を得るための3つの原則

1. 明確かつ具体的に

AIは曖昧な指示では曖昧な回答しか返せません。

例えば

「マーケティング戦略について教えて」

と聞くよりも、

「年商3000万円の飲食店が、予算5万円以内で実施できる地域密着型のSNSマーケティング戦略を3つ提案してください」

と具体的に指示する方が、はるかに有用な回答が得られます。

2. 文脈と背景情報を提供する

AIはあなたの状況を自動的に理解することはできません。そのため、必要な背景情報を提供することが重要です。

良くない例: 「古本屋のビジネスプランを作成して」

良い例: 「私は個人ITコンサルタントとして、主にデータ分析とクラウド移行支援のサービスを提供しています。現在は副業で年間売上300万円ですが、来年からの独立を検討しています。月収50万円を目標とした6ヶ月分のビジネスプラン(収支計画、マーケティング施策、リスク対策含む)を作成してください。特に初期投資を10万円以内に抑える方法を重視しています。」

3. 出力形式を指定する

どのような形式で回答が欲しいのかを明示することで、より使いやすい回答を得られます。

例: 「回答は箇条書きで、各項目は100字以内でまとめてください」 「Excelに貼り付けられる表形式で回答してください」 「見出し、小見出し、本文という構成で、Webサイトの記事として使える形式で回答してください」

プロンプトエンジニアリングの実践テクニック

ステップバイステップの回答を要求する

複雑な問題の解決策を求める場合は、段階的に考えるよう指示すると効果的です。

例: 「新規事業のリスク分析を行いたいです。市場分析、競合分析、財務リスク、運営リスクの観点から、ステップバイステップで分析手法を教えてください。」

フォーマットを具体的に指定する

特に表やリスト、企画書など特定の形式で出力してほしい場合は、その形式を明示しましょう。

例: 「以下のフォーマットで週間タスク管理表を作成してください: 1列目:タスク名 2列目:担当者 3列目:期限 4列目:優先度(高・中・低) 5列目:ステータス(未着手・進行中・完了・保留)」

実践的なプロンプト例

ITコンサルティング事業のプロンプト例

事業計画立案

次の情報に基づいて、3年間の事業成長計画の概要を作成してください:
【会社概要】
- 業種:ITコンサルティング
- 従業員数:1名(私のみ)
- 年商:300万円(副業から開始)
- 主要サービス:クラウド移行支援、システム導入サポート
【目標】
- 1年後:個人事業主から法人化、年商1,000万円
- 3年後:従業員3名、年商3,000万円
- 新規事業としてAIソリューション提供を検討中
【出力形式】
1. 市場分析
2. 3年間の数値目標(年度別・四半期別)
3. 重点施策(各年度3つずつ)
4. 必要な投資計画
5. リスク要因と対策

クライアント獲得戦略

役割:あなたはフリーランスのITコンサルタントの集客に詳しいマーケティング専門家です
状況:私は1人でITコンサルティング事業を始めたばかりです。主にクラウド移行支援とセキュリティ対策のサービスを提供しています。
予算:月5万円の広告・マーケティング予算
依頼:小規模事業者として、大手ITコンサルティング会社と差別化し、見込み客を獲得するための戦略を立案してください。特に以下の点について具体的なアドバイスをお願いします:
1. ターゲット顧客の選定方法
2. Webサイト改善ポイント
3. SNS活用法(具体的な投稿内容と頻度)
4. 低コストで実施できる見込み客獲得施策
5. 実施スケジュール(3ヶ月分)

サービス設計・価格設定

私は個人でITコンサルティング事業を始めたばかりです。クラウドシステム導入支援とITセキュリティ診断をメインサービスとして考えていますが、サービス内容と価格設定にまだ迷っています。

以下の条件でITコンサルティングサービスのパッケージ設計と価格設定を提案してください:

【条件】
- 私一人で提供できるサービス範囲であること
- 月に最大4社のクライアントに対応可能
- ターゲットは従業員10〜50名程度の中小企業
- 競合は大手ITコンサルティング会社(料金は高め)

【提案に含めてほしい内容】
1. 3段階のサービスパッケージ(ライト・スタンダード・プレミアム)
2. 各パッケージの具体的なサービス内容
3. 適切な価格設定と根拠
4. 追加オプションサービスとその料金
5. 契約期間の設定(スポット・月額・年間など)

業務効率化ツール選定

私は個人ITコンサルタントとして事業を開始したばかりです。効率的に業務を進めるため、以下の業務を自動化・効率化したいと考えています:

1. 顧客管理(問い合わせから契約まで)
2. 提案書・見積書の作成
3. 進行中プロジェクトの管理
4. 請求書発行と入金管理
5. マーケティング活動(メルマガ、SNS投稿など)

月額合計1万円以内で導入できるSaaSツールの組み合わせを提案してください。個人事業主でも使いやすく、将来的に従業員が増えても対応できるものが理想です。各ツールについて、主な機能、月額費用、導入する際のポイントも教えてください。

AIプロンプトの高度なテクニック

チェーン・オブ・ソート(思考の連鎖)

複雑な意思決定や分析が必要な場合、AIに段階的に考えさせるアプローチです。

あなたは経営コンサルタントです。私たちの会社は以下の3つの新規事業案を検討しています:
A:サブスクリプション型のITサポートサービス
B:中小企業向けのセキュリティ診断サービス
C:クラウド移行コンサルティング

以下のステップで最適な事業案を分析してください:
1. まず、各事業案の市場規模と成長性を分析
2. 次に、当社(従業員3名のITサービス会社)のリソースで実現可能かを検討
3. 収益性と初期投資のバランスを評価
4. 各案のリスク要因を特定
5. 上記すべての要素を考慮した上で、最適な選択肢を提案し、その理由を説明

プロンプトの反復改良

AIからの回答が期待通りでない場合、プロンプトを段階的に改良するテクニックです。

【最初のプロンプト】
「ITコンサルティングの提案書の書き方を教えてください」

【改良版プロンプト】
「個人ITコンサルタントとして、中小企業向けにクラウド移行の提案書を作成しています。相手に伝わりやすく、受注率が高い提案書の書き方とテンプレートを教えてください。特に、技術的な内容を非IT担当者にもわかりやすく説明する方法に悩んでいます。」

【さらに改良したプロンプト】
「個人ITコンサルタントとして、製造業の中小企業(従業員30名、年商5億円)向けにクラウド移行の提案書を作成しています。現在のシステム構成は、オンプレミスのサーバー2台(ファイルサーバーと基幹システム)で、ITに詳しい社員がいません。

以下の要素を含む、説得力のある提案書の構成と内容を具体的に教えてください:
1. 経営者と現場担当者の両方に響く課題整理の方法
2. クラウド移行の具体的なメリットを数値で示す方法
3. 導入プロセスと期間の見せ方
4. コスト削減効果の算出方法と表現方法
5. セキュリティ向上のアピール方法

また、この提案書のエグゼクティブサマリー(1ページ)のサンプル文章も作成してください。」

AIプロンプトで避けるべき5つの失敗

  1. 曖昧な指示 – 「良いビジネスプランを作って」のような漠然とした依頼
  2. 情報不足 – 業種や規模など、重要な背景情報を省略する
  3. 過剰な制約 – あまりに多くの条件を一度に指定しすぎると、AIが混乱する場合がある
  4. 専門用語の乱用 – AIは多くの専門用語を理解しますが、業界特有の略語や造語は避ける
  5. 非現実的な期待 – AIは万能ではないため、専門的アドバイスには限界がある

上記のうち、特に気をつけたいのが「専門的内容で、かつ公開情報が少ない、またはないもの」です。例えば医療分野では論文などになっているものは対応できますが、カルテに記載されているような内容は公開されていないため、的外れな回答が出てくるかもしれません。あるいは製造業などでも、NDAを交わさないと取得できない製品仕様であったり、未発表の製品に関することは対応できません。

このように、AIが情報を知っているかどうかは、よく考えた上で依頼をするようにしましょう。AIが知らない情報がは、自身でAIに情報を提供するようにしなければなりません。ただし、AIを無料で使用している場合、入力したデータは学習に利用される場合があり、守秘義務上の問題が発生する可能性があることに注意が必要です。

AI利用時のリスクについてはこちらの記事もご覧ください。

まとめ:継続的な改善が成功の鍵

AIプロンプトのスキルは、一朝一夕に身につくものではありません。実際に使いながら、どのような指示がより良い結果となるかを学んでいきましょう。プロンプトを少しずつ改良し、そのノウハウを社内で共有していくことで、組織全体のAI活用スキルが向上していきます。

また、AIツールは日々進化しています。定期的に新機能をチェックし、プロンプト手法を更新していくことも重要です。 スモールビジネスだからこそ、限られたリソースを最大限に活かすAIの活用が競争力になります。まずは日常業務の中でAIプロンプトを実践しながら、その効果を実感してみてください。

私たちもまだまだ十分に使いこなせていないと感じているので、良いプロンプトがあったら弊社のXアカウントやコメントなどで教えてください!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


PAGE TOP