この記事では、スモールビジネスに適した業務用Wi-Fiルーターについて、選び方とおすすめ機種をご紹介します。
ビジネスにおいて欠かせないのが、安定したネットワーク環境です。それは小規模オフィスや店舗でも同じです。家庭用Wi-Fiルーターでも接続する台数が少ないうちは十分対応できるでしょう。ですが、PCだけでなくスマートフォン、タブレット端末、IoTデバイスなどをカバーしようとすると、急激に台数が増えていき、接続が不安定になってしまうことがあります。
また、ビジネスでは顧客情報や機密データを扱うため、家庭用とは異なる高度なセキュリティ機能が求められます。さらに、業務が中断されることによる損失を避けるため、長時間の安定稼働や迅速なサポート体制も重要な要素となります。このような要求に応えるのが業務用Wi-Fiルーターです。
業務用ルーターは家庭用に比べてどうしても価格は高めになってしまいます。ですが、通信の安定性やセキュリティで悩んでいる方は、ぜひ検討してみましょう。
※本記事は2025年5月時点の情報です。製品の仕様や価格は購入前に最新情報をご確認ください。
業務用Wi-Fiルーターと家庭用Wi-Fiルーターには、主に以下の違いがあります。
業務用Wi-Fiルーターは、多数のデバイスが同時接続しても安定した通信を維持できるように設計されています。一般的な家庭用ルーターが10〜15台程度の同時接続を想定しているのに対し、業務用では40台以上の同時接続に対応している製品も少なくありません。
業務用ルーターは業務継続性を重視して設計されており、長時間の連続稼働や負荷の高い状況でも安定した通信を維持します。特にWeb会議やクラウドサービスを頻繁に利用する業務環境では、この安定性が重要になります。
高度なファイアウォール機能、VPNのサポート、不正アクセス検知など、ビジネスに必要なセキュリティ機能が充実しています。特に、顧客情報や社内機密情報を扱う場合には必須の機能です。
複数のSSID設定(ゲストネットワークの分離)、アクセス制限、トラフィック管理などの詳細な設定が可能です。リモート管理機能も充実しており、IT管理者の負担を軽減します。
オフィスや店舗で同時に接続するデバイスの数を考慮し、余裕を持った台数に対応している機種を選びましょう。従業員のスマートフォンやタブレット、PCだけでなく、IoTデバイスやゲスト用の接続も含めて算出することが重要です。
最新の通信規格(Wi-Fi 6/6EやWi-Fi 7)に対応した機種を選ぶことで、将来的な拡張性が確保できます。特に多数のデバイスを同時接続する環境では、OFDMAやMU-MIMOといった機能が効果的です。
VPN機能、ファイアウォール、不正アクセス検知、暗号化方式(WPA3対応)などのセキュリティ機能が充実している製品を選びましょう。特に、リモートワークを導入している場合は、安全なVPN接続が必須です。
オフィスや店舗の広さ、壁や障害物の状況を考慮し、適切な電波範囲をカバーできる機種を選びましょう。必要に応じて、メッシュWi-Fiシステムや中継器の導入も検討する価値があります。
Webブラウザからの設定のしやすさ、リモート管理機能、障害発生時の通知機能などが充実している製品が理想的です。IT専任スタッフがいない小規模事業者の場合は、特に重要なポイントです。
以下では、スモールビジネス向けに、信頼性の高い業務用Wi-Fiルーターを紹介します。各製品の特徴や用途に合わせてお選びください。
価格帯:約40,000円〜(ライセンス別)
シスコのスモールビジネス向けネットワークソリューション「Meraki Go」は、専門知識がなくても導入・運用できる業務用Wi-Fiルーターです。
主な特徴:
おすすめポイント: クラウド管理型のため、リモートからの監視や設定変更が容易です。大規模ネットワークで定評のあるシスコのテクノロジーを、小規模ビジネス向けに最適化した製品です。スケーラビリティも高く、ビジネスの成長に合わせて拡張できます。
価格帯:約24,000円
Ubiquitiのコンパクトなクラウドゲートウェイ+Wi-Fi 6アクセスポイント統合モデル。手のひらサイズながら本格的な業務用機能を備えたエントリーモデルです。
主な特徴:
おすすめポイント: 法人向けUniFiシステムの入門機として最適です。スマートフォンから10分程度で初期設定が完了します。小さなサイズながらVPNやDPI(Deep Packet Inspection)機能も搭載しており、将来的にUniFiアクセスポイントを追加してシステム拡張も可能です。これまで家庭用WiFiルーターを使っていた小規模オフィスや店舗の置き換えに最適な製品です。
価格帯:約160,000円
ヤマハの小規模拠点向けブロードバンドVoIPルーターで、Wi-Fi機能を内蔵した業務用製品です。音声通信とデータ通信を統合したユニファイドコミュニケーション環境に最適です。
主な特徴:
おすすめポイント: Wi-Fi機能とVoIP機能を統合した業務用ルーターで、電話システムとネットワークを一元化できます。ヤマハの高い音声品質技術と安定したネットワーク機能を両立しており、小規模オフィスでIP電話を導入したい企業に特におすすめです。堅実な作りで長期間の安定運用が期待できます。
価格帯:約70,000円〜(ライセンス別)
FORTINETの小規模オフィス向けUTM機能搭載Wi-Fiルーター。統合セキュリティアプライアンスにWi-Fi機能を内蔵したオールインワン製品です。
主な特徴:
おすすめポイント: Wi-Fi機能を内蔵したセキュリティアプライアンスで、1台でネットワークとセキュリティを完結できます。エンタープライズレベルのセキュリティ機能を小規模オフィス向けにパッケージ化しており、高度な脅威からの保護が可能です。FortiOS搭載で統合管理ができ、セキュリティを最重視する企業におすすめです。
価格帯:約100,000円
アライドテレシスのWi-Fi 6E対応ルーターです。無線LANアクセスポイントとルーターの両機能を1台に統合したオールインワン製品です。ブランチオフィスや小売店、飲食店などのネットワークに最適です。
主な特徴:
おすすめポイント: 純粋な業務用製品として設計されており、タブレットやハンディターミナルなどの業務端末との親和性が高いです。1台でシンプルかつ高セキュリティなネットワーク環境を構築でき、導入・運用コストを削減できます。エンタープライズグレードの安定性と管理機能を求める企業におすすめです。
業務用Wi-Fiルーターの導入時には、デフォルトのパスワード変更、不要なサービスの無効化、ファームウェアの更新など、基本的なセキュリティ設定を必ず行いましょう。
社内ネットワークとゲスト用ネットワーク(来客や顧客向け)は、セキュリティリスクを減らすために分離することをおすすめします。多くの業務用ルーターでは、複数のSSIDを設定することで簡単にネットワーク分離が可能です。
事業の成長に伴い、接続デバイス数が増加する可能性があります。将来的な拡張を見据えて、余裕を持った性能のルーターを選ぶことが重要です。
専門知識がない場合は、ネットワーク設定の専門家に相談することも検討しましょう。初期投資は増えますが、長期的には安定したネットワーク環境による業務効率の向上というメリットが得られます。
業務用Wi-Fiルーターは、小規模オフィスや店舗においても、安定したネットワーク環境を構築するために重要です。同時接続数、通信の安定性、セキュリティ機能などを総合的に検討し、ビジネスのニーズに合った製品を選びましょう。
また、初期費用は家庭用ルーターよりも高くなる傾向がありますが、業務の効率化やトラブル減少によるコスト削減、家庭用よりも長いサポート期間といったメリットを考慮すると、十分適切な投資と言えるでしょう。安定したネットワークは現代のビジネスにおける重要なインフラであり、その信頼性を高めることは事業成功に不可欠です。
オフィスや店舗に最適なWi-Fiルーターについて、アドバイスが必要な場合は弊社まで是非お問い合わせください。