この記事では、アクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載した有線ヘッドセットを詳しく解説します。
「Web会議中、周りの話し声や空調の音がうるさくて集中できない…」——そんな経験、ありませんか?
オープンオフィスでの打ち合わせ中、隣のグループの笑い声が気になって話に集中できなかったり、自宅で子どもの声や生活音が聞こえてきたり。「ノイズキャンセリング付き」と書いてあるヘッドセットを買ったのに、思ったより効果がなくてがっかりした経験はありませんか?
それというのも、世の中の「ノイズキャンセリング」ヘッドセットの多くは、マイク側だけの機能で、自分の耳に届く音を消してくれる本当のANCではないのです。
※この記事の製品情報・価格は2026年2月時点のものです。最新情報は各メーカー公式サイトでご確認ください。
まず知っておいていただきたいのが、ヘッドセットの「ノイズキャンセリング」には2種類あるということです。
マイク側のノイズキャンセリングは、自分が話すときに周囲の雑音を拾わないようにする機能です。相手に自分の声をクリアに届けるためのもので、自分自身が騒音から解放されるわけではありません。
一方、ヘッドホン側のANC(アクティブノイズキャンセリング)は、逆位相の音波を発生させて外部の騒音を打ち消し、自分の耳に届く音を静かにしてくれます。集中して会議に臨みたいなら、こちらの機能も必要です。
市販のビジネスヘッドセットの多くは前者だけを搭載していて、「ノイズキャンセリング」と大きく書いてあっても、自分が聞く音は普通のヘッドホンと変わらないことがよくあります。Jabra Evolve2 40 SE、Poly Blackwire 5220、EPOS IMPACT 460シリーズなどの人気製品も、実はヘッドホン側にANCは搭載されていません。
「ANCならワイヤレスヘッドホンでいいのでは?」と思われるかもしれません。確かにSonyのWH-1000XM5やBose QuietComfortはANC性能で定評があります。これらの消費者向けANCヘッドホンは確かに高性能で、問題なく使えているのならばあえて有線のヘッドセットを購入する意味はないかもしれません。
ただ、筆者の使用した感想ですが、ブームマイクがないせいか、音声がやや不自然になってしまうようです。また、常に充電できているか気にしながら使用しなければなりません。
一方、有線接続のメリットは明確です。
バッテリー切れの心配がない。遅延がほぼゼロ。そして接続トラブルが起きにくい。
1日中会議が続くような日でも、充電を気にせず安心して使えます。Bluetoothの接続がうまくいかなくて会議の参加に遅れたり、突然切れて「聞こえてますか〜?」と聞かれる、あの気まずい瞬間とも無縁です。
オンラインでの会議が重要性を増す中、もしもの時の保険として、有線接続のヘッドセットを備えておくのも必要ではないでしょうか。
「ヘッドホン側ANC」「有線接続」「ブームマイク付き」という3つの条件をすべて満たす製品を探してみると、驚くほど選択肢が限られていることがわかります。完全有線でUSB-C対応のモデルは、実質3機種しかありません。
順番に見ていきましょう。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 価格 | ¥19,800 |
| 重量 | 223.5g |
| 接続 | USB-C(USB-Aアダプター付属) |
| ANC | アダプティブハイブリッドANC |
| マイク | AI 駆動のアルゴリズムとマイク EQ 搭載のノイズキャンセリングマイク x2 |
| 認証 | Microsoft Teams / Zoom / Google Meet |
総合的に最もバランスが取れた選択肢です。
最大の特徴は「アダプティブ(適応型)ANC」。周囲の騒音レベルをリアルタイムで検知して、自動的にノイズキャンセリングの強さを調整してくれます。静かなオフィスでは控えめに、騒がしいカフェでは強力に、といった具合です。
マイク側もAI駆動のデュアルノイズキャンセリング機能を搭載しており、相手に届く音声もクリアです。
イヤーパッドとヘッドセットストラップは交換可能なパーツとなっており、長く使用する場合も安心ですし、他の従業員に配布する場合にも便利です。筆者の使用していたヘッドホンでも、イヤーパッドやヘッドバンドの肌に触れる部分がボロボロになって使用を諦めたものがあるので、これは非常にポイントが高いです。
メーカーはPCの周辺機器で非常に定評のあるロジクールですので、サポートの安心感もあります。
なお、TeamsやZoomの認証を取得しているのは「for Business」となっているものです。「for Business」のついていない、一般向けのZone Wired 2も販売されていますが、間違えないようにしましょう。ただ、おそらくハードウェアはほぼ同じものなのではないかと思います。認証にこだわらないのであれば、若干安いようなので、こちらを使用するのもありかもしれません。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 価格 | ¥23,250 |
| 重量 | 170g |
| 接続 | USB-C(USB-Aアダプター付属) |
| ANC | アダプティブANC |
| マイク | 4-マイクロフォン技術 |
| 認証 | Microsoft Teams / Zoom / Google Meet(モデルによって異なる) |
オープンオフィスなど特に騒がしい環境で使う方におすすめです。
EPOS AI技術を搭載した4つのマイクが、毎秒32,000回も環境をスキャンしてノイズを除去します。周りで同僚が電話していても、あなたの声だけをクリアに届けてくれます。
また、従来のANCにありがちだった「耳が詰まるような圧迫感」を軽減する設計になっています。ANCが苦手という方でも試してみる価値があります。
重量も170gと軽量なので、長時間装着しても疲れにくいでしょう。
EPOSというメーカー名はあまり聞きなれないかもしれませんが、前身は音響機器メーカとして有名なゼンハイザーと聴覚ヘルスケアグループ、デマントとの合弁事業で、2020年まではゼンハイザー・コミュニケーションズという社名でした。現在は合弁を解消し、デマントの完全子会社となっています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 価格 | ¥29,480 |
| 重量 | 186g |
| 接続 | USB-C(USB-Aアダプター付属) |
| ANC | 3段階ハイブリッドANC(Off/Low/High) |
| マイク | ノイズキャンセリングマイク+2個のマイクによるAcoustic Fence Technology |
| 認証 | Microsoft Teams / Zoom |
デバイスを集中管理したい方向けです。
Poly Lensソフトウェアを使用することで、大量のデバイスがあっても簡単に導入、構成、更新などの管理をすることが可能です。
Off/Low/Highの3段階でANCを調整できるため、状況に応じた使い分けが可能。「会議中は強めにしたいけど、休憩中は周囲の音も聞こえていたい」といった細かいニーズに対応できます。
独自の「Acoustic Fence技術」も特徴的です。話者の周囲に仮想的な「音の壁」を作り出し、横で誰かが話していても自分の声だけを相手に届けます。フェイクレザーのイヤークッションと金属製ヘッドバンドで耐久性も高く、毎日ガシガシ使うビジネス用途に向いています。
Polyは、もともとPlantronics(プラントロニクス)とPolycom(ポリコム)が統合して誕生したブランドですが、2022年8月にHPに買収されました。現在はHPのコミュニケーションデバイスブランドとして展開しています。
| 製品名 | 価格 | 重量 | ANC方式 | 認証 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| Zone Wired 2 | ¥19,800 | 223.5g | アダプティブ | Microsoft Teams / Zoom / Google Meet | 総合バランス重視 |
| EPOS 860 ANC | ¥23,250 | 170g | アダプティブ | Microsoft Teams / Zoom / Google Meet | 騒がしい環境 |
| Blackwire 8225 | ¥29,480 | 186g | 3段階調整 | Microsoft Teams / Zoom | 集中管理 |
迷ったらLogicool Zone Wired 2 for Businessをおすすめします。
2万円を切る価格、適応型ANC、AI駆動マイク、USB-C対応、Teams/Zoom/Google Meet認証——すべての要素が高いレベルでまとまっています。日本での入手しやすさも含めて、最も失敗しにくい選択肢です。
より軽量なモデルが良いならEPOS IMPACT 860 ANC、大量のデバイスを集中管理したいならPoly Blackwire 8225と、用途に応じて検討してみてください。
最後に、購入時の注意点をまとめておきます。
製品を選ぶ際は、必ず「アクティブノイズキャンセリング」「ANC」「ハイブリッドANC」といった明確な記載があるか確認してください。単に「ノイズキャンセリング」とだけ書いてある製品は、マイク側だけの機能である可能性が高いです。
また、お使いのPCのUSBポートがType-AなのかType-Cなのかも事前に確認しておきましょう。最近の製品はUSB-C主体でUSB-Aアダプターが付属するパターンが多いですが、念のためチェックしておくと安心です。
Web会議が日常になった今、ヘッドセットは「あると便利」から「なくてはならない」ツールになりました。周囲の音に邪魔されず、相手にもクリアな声を届けられるヘッドセットがあれば、会議の質は確実に上がります。1日に何時間も使うものだからこそ、しっかり選んでみてはいかがでしょうか。