本記事では、ビジネスの計画・起業・拡大のフェーズごとに、スモールビジネスのオーナーや経営者が活用できるITツールやサービスを詳しく解説します。
スモールビジネスを成功させるためには、限られた人員とリソースを最大限に活用することが重要です。昨今では適切なITツールを活用することで、超・効率的に業務を進めることが可能になりました。スモールビジネスの各フェーズにおいて活用できる様々なツールをご紹介します。
※この記事は2025年4月時点の情報に基づいています。サービス内容や料金は変更される可能性がありますので、最新情報は各サービス公式サイトでご確認ください。
ビジネスを始める最初のステップでは、アイデアを整理し、事業計画を立て、市場調査を行う必要があります。この段階で活用できるITツールを見ていきましょう。
1. Business Model Canvas
無料で使えるビジネスモデルのフレームワークツールです。
9つの要素(顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客関係、収益の流れ、主要資源、主要活動、主要パートナー、コスト構造)を整理することで、ビジネスモデルを視覚的に表現できます。
2. LivePlan
月額料金制のオンラインビジネスプランナーです。
財務予測、損益計算書、キャッシュフロー予測などを簡単に作成でき、視覚的に確認することができます。
1. Google トレンド
無料で利用できる市場調査ツールで、特定のキーワードの検索トレンドを確認できます。
新しいビジネスの需要を把握したり、季節的な傾向を確認したりするのに役立ちます。
2. Questant
アンケート作成・集計ツールです。
無料プランでも基本的な調査機能が使え、有料プランでは高度な機能や分析ツールが利用できます。
ビジネスを運営するための基本的なIT環境を構築しましょう。クラウドサービスを活用することで、初期投資を抑えながら必要な機能を利用できます。
1. Google Workspace(旧G Suite)
メール、カレンダー、ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションなどのツールが揃ったクラウドサービスです。最近はGeminiというAIアシスタントが基本料金に含まれるようになり、よりコストパフォーマンスが高くなりました。
自社ドメイン名を設定したメールアドレスも利用でき、無料版よりセキュアなGmailが利用できます。
2. Microsoft 365
Word、Excel、PowerPointなどのおなじみのMicrosoft Officeアプリケーションに加え、クラウドストレージ(OneDrive)、チャット・ビデオ会議ツール(Teams)などが含まれています。こちらもCopilotというAIアシスタントが統合されています。
日本企業での普及率も高く、サポート体制も充実しています。
3. Box
日本でのサポートが充実したファイル共有・クラウドストレージサービスです。セキュリティ機能が強化されており、企業利用に適しています。
1. ノートパソコンとモバイルデバイス
出先でも仕事ができるよう、性能の良いノートパソコンとスマートフォンは必須です。予算に応じて選びましょう。
OSやPCの選び方についてはこちらの記事をご覧ください。
Macを考えているスモールビジネスやクリエイターの方はこちらもご覧ください。
2. オフィスソフトウェア
上述のGoogle WorkspaceやMicrosoft 365を利用することで、追加費用なしにオフィスソフトウェアを使用できます。WordやExcelのファイルのやり取りが多く、マクロや複雑なデザインのものを取り扱う場合は、Microsoft365の利用、または買い切りのライセンスでMicrosoft Officeを購入することを検討しましょう。
3. セキュリティソフトウェア
Windowsの場合は標準のDefenderでも必要十分な機能があります。ですが、業務の必要に応じて機能の充実したセキュリティソフトウェアを導入しましょう。
Mac向けのセキュリティソフトはこちらの記事を参考にしてください。
現代のビジネスでは、オンラインでの存在感が成功の鍵です。ウェブサイトの構築からSNS運用まで、オンラインプレゼンスを確立するためのツールを紹介します。
1. WordPress
世界で最も使われているオープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)です。
無料のテーマやプラグインが豊富なため、初心者でも比較的簡単にプロフェッショナルなウェブサイトを構築できます。Wordpressを開発しているAutomattic社が提供しているWordPress.comや、さまざまなホスティング会社が提供しているプランがあります。あるいは自身でサーバーを立てて運用することも可能です。
2. Wix
ドラッグ&ドロップでウェブサイトを作成できるプラットフォームです。
テンプレートが豊富で、Webデザインの知識がなくてもビジュアルエディタを使い、簡単にサイトを作成できます。
3. BASE
ネットショップ作成サービスです。
初期費用や月額費用は無料です。決済手数料のみでネットショップを運営できるため、費用を抑えて売れるかどうか試したい場合に最適です。
1. Cloudflare Register
CDNなどで有名なCloudflareのドメイン登録サービスです。
他のレジストラーは取得や管理に手数料を上乗せしていますが、Cloudflareは原価で提供するとうたっており、他社に比較して安価です。ただし、.jpドメインなど対応していないものがあるので、利用したいドメイン名によっては他のレジストラーを検討する必要があります。
2. エックスサーバー
国内のレンタルサーバーとして高い人気を誇るサービスです。ドメイン登録サービスも行っています。
WordPressの設置が簡単で、KUSANAGIというWordpressの高速実行環境を導入しています。また、レンタルサーバーを契約している間、.jpや.comなど一部ドメインについて更新費用が無料になる特典があります。
1. SocialDog
X、Instagram、Facebookマーケティングツールです。
予約投稿、フォロワー分析、競合分析などの機能が充実しています。
2. Buffer
複数のSNSアカウントを一元管理できるツールです。
投稿のスケジュール設定、分析、AIアシスタントなどの機能があります。1ユーザーであれば無料で利用することもできます。
顧客との関係を管理し、営業活動を効率化するためのツールは、ビジネスの成長に欠かせません。
1. HubSpot CRM
無料から始められるCRMツールです。
顧客データの管理、営業活動の追跡、メールマーケティングなどの機能が統合されています。スモールビジネス向けにCRM以外の機能もセットになったStarter Customer Platformが提供されています。
2. Salesforce
世界最大のCRMプラットフォームで、日本でも多くの企業に導入されています。
顧客データの管理から販売プロセスの自動化まで、幅広い機能を提供しています。
1. eeasy
オンラインで簡単にあらゆる日程調整ができるツールです。
空き時間を設定しておけば、顧客が都合の良い時間を選べるため、スケジュール調整の手間が省けます。
2. RESERVA
簡単に使える予約管理システムです。
350以上の業種に対応し、無料から使用することができます。
1. クラウドサイン
電子契約サービスです。
契約を電子化することで、印紙税の節約や紙の削減、契約締結までの時間短縮など多くのメリットがあります。
2. DocuSign
世界中で利用されている電子署名サービスで、日本語にも対応しています。
契約書類をオンラインで送信し、署名を集めることで、契約プロセスを大幅に短縮できます。
財務管理や経理、人事などのバックオフィス業務は、ビジネスの土台となる重要な要素です。効率化するためのツールを見ていきましょう。
1. freee
日本の中小企業や個人事業主向けのクラウド会計ソフトです。
銀行口座やクレジットカードとの連携、自動仕訳機能などが特徴で、確定申告も簡単に行えます。シェアNo.1のクラウド会計ソフトとして人気を集めています。
2. マネーフォワード クラウド会計
直感的な操作性と自動化機能が特徴のクラウド会計ソフトです。
銀行取引の自動取得、レシート読み取り機能などが備わっています。会計初心者でも使いやすい設計になっています。マネーフォーワードクラウドは他にも請求書発行や経費精算、勤怠・給与管理、契約管理など、さまざまな機能を取り込んでいるので、まとめて利用するのも効率的です。
3. やよいの青色申告 オンライン
老舗の会計ソフトメーカーが提供するクラウドサービスです。
長年の実績があり、信頼性の高い会計処理が可能です。確定申告書類の作成に特化した機能も充実しています。
1. SmartHR
人事・労務手続きに特化したクラウドサービスです。
入社・退社手続き、給与計算、年末調整など、人事・労務に関する作業を効率化できます。
2. KING OF TIME
クラウド型の勤怠管理システムです。スマートフォンやPCから打刻でき、シフト管理や有給休暇管理などの機能も備えています。
1. マネーフォワード クラウド経費
経費申請と精算をクラウド上で完結できるサービスです。
レシートをスマホで撮影するだけで経費申請ができ、承認プロセスも効率化できます。
2. 楽楽精算
国内シェア上位の経費精算システムです。
経費申請、承認、精算までの一連の流れをオンライン化し、業務効率を大幅に向上させます。
ルーティンワークを自動化することで、創造的な業務に集中できるようになります。業務自動化に役立つツールを紹介します。
1. kintone
サイボウズが提供する業務アプリ作成プラットフォームです。
プログラミング不要で業務に必要なシステムを作成でき、業務に合わせた機能が豊富です。
2. Zapier
1,500以上のアプリケーションを連携させ、作業を自動化できるツールです。
プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップで簡単に自動化フローを作成できます。最近AIを利用した自動化機能が追加され、さらに強力なツールになりました。
1. Backlog
国産のプロジェクト管理ツールです。
タスク管理、バグ管理、ファイル共有など、プロジェクト管理に必要な機能が一通り揃っています。
2. Trello
カンバン方式のタスク管理ツールです。日本語対応も完備し、直感的なインターフェースでタスクを「カード」として管理し、進行状況を視覚的に把握できます。
場所を問わず、チームで効率的に働くためのコミュニケーションツールは、現代のビジネスにおいて必須です。
1. Slack
世界中で利用されているビジネスチャットツールで、日本でもIT系企業を中心にユーザーが多いです。
チャンネル分けによる情報整理や、豊富な外部サービス連携が特徴です。
2. LINE WORKS
LINEのビジネス版で、LINEと連携し外部とやり取りすることができます。
LINEと同様の操作感で使えるため、ITリテラシーが高くない社員でも比較的抵抗なく導入できます。
3. Microsoft Teams
Microsoft 365に含まれるコラボレーションツールです。チャット、ビデオ会議、ファイル共有などの機能が統合されており、Officeアプリとの連携も強力です。Microsoft 365ユーザーであれば追加費用なく利用できます。
1. Zoom Meetings
高品質なビデオ会議を提供するツールです。
画面共有、チャット、録画など、様々な機能を備えており、ウェビナーの開催も可能です。ミーティング時間などに制限はありますが、無料でも使用可能です。
2. Google Meet
Google Workspaceに含まれるビデオ会議ツールです。
Googleカレンダーとの連携や、ブラウザから直接参加できる手軽さが特徴です。
1. Google ドキュメント
Google Workspaceに含まれるクラウドベースの文書作成アプリです。
複数人での同時編集が可能で、コメント機能や変更履歴の追跡も便利です。
2. Microsoft Word Online
Microsoft 365に含まれるクラウドベースのWordです。
従来のWordと同様の操作感で、共同編集が可能です。クラウド版は機能が限られていますが、無料で使用することも可能です。
効果的なマーケティング戦略は、ビジネスの成長に不可欠です。デジタルマーケティングを支援するツールを紹介します。
1. Benchmark Email Japan
メールマーケティングツールです。
ドラッグ&ドロップのエディタで簡単にメルマガを作成でき、配信結果の分析機能も充実しています。
2. 配配メール
簡単に使えるメールマーケティングツールです。
使いやすいインターフェースと手厚いサポートが特徴です。
1. note
日本発のコンテンツプラットフォームです。
企業の情報発信やブランディングに活用できるほか、有料コンテンツの販売も可能です。
2. WordPress
ブログ記事やコンテンツを公開するためのプラットフォームとして、WordPressは最適です。
日本語での使いやすさに定評があり、SEO対策に役立つプラグインも多数あります。
1. Google広告
検索広告、ディスプレイ広告、YouTube広告などを管理できる広告プラットフォームです。
予算や目標に合わせたキャンペーン設定が可能です。
2. Yahoo!広告
Yahoo! JAPANの検索結果やYahoo!関連サイトに広告を表示できるサービスです。
日本のユーザーにリーチするのに効果的です。
1. A8.net
日本最大級のアフィリエイトサービスプロバイダーです。
豊富な広告主と提携しており、成果報酬型の広告を取り扱っています。
2. もしもアフィリエイト
初心者でも始めやすいアフィリエイトサービスです。
報酬の即時確定や、豊富な広告素材が特徴です。
データに基づいた意思決定を行うことで、ビジネスの成長を加速させることができます。ここでは、データ分析に役立つツールを紹介します。
1. Googleアナリティクス
無料で使えるウェブ解析ツールです。
ウェブサイトへのアクセス数、流入経路、ユーザーの行動パターンなどを分析できます。
2. User Insight
国産のアクセス解析ツールです。直感的なUIで操作しやすく、ヒートマップといった特徴的な機能があります。
1. Tableau
直感的な操作でデータを視覚化できるBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。
複雑なデータも理解しやすいビジュアルに変換できます。
2. domo
クラウドベースのBIプラットフォームです。
リアルタイムのデータ連携と視覚化が特徴です。
ビジネスデータを守るためのセキュリティ対策は、IT環境の構築において最も重要な要素の一つです。
1. ウイルスバスター クラウド
日本でのシェアが高いセキュリティソフトウェアです。
クラウドベースの脅威対策で、常に最新の保護を提供します。
2. ESETセキュリティ
軽量で高速なセキュリティソフトウェアです。
システムへの負荷が少なく、高い検出率が特徴です。日本語サポートも充実しています。
1. AOSBOX
クラウドバックアップサービスです。
クライアントのインストールだけで簡単に使用することができます。
2. QNAP NAS
NAS(ネットワークアタッチトストレージ)です。
社内データのバックアップに最適で、信頼性が高いハードウェアとして定評があります。
パスワード管理についてはこちらの記事もご覧ください。
1. LastPass
パスワードを安全に管理し、必要な時に自動入力できるツールです。
強力なパスワード生成機能も備えています。
2. 1Password
個人用からビジネス用まで対応したパスワード管理ツールです。
チーム内でのパスワード共有機能も充実しています。
ビジネスが成長し、チームが拡大する段階では、より高度なITツールの導入が必要になります。
1. さくらのクラウド
国産クラウドサービスです。
国内の法規制に対応したサービス提供が特徴です。
2. Amazon Web Services (AWS)
世界最大のクラウドコンピューティングプラットフォームです。
需要に応じてリソースをスケールできるため、成長するビジネスに最適です。
1. API管理ツール
Postman、SwaggerなどのAPI開発・管理ツールを使用することで、異なるシステム間の連携を効率的に行えます。これらのツールは日本語マニュアルやコミュニティが存在し、日本企業でも導入が進んでいます。
2. カスタマイズ可能なCRM
Salesforce、HubSpotなどのカスタマイズ性の高いCRMプラットフォームは、日本語対応も充実しており、ビジネスの成長に合わせて機能を拡張できます。
最新のAI技術を活用することで、小規模ビジネスでも大企業並みの機能やサービスを提供できるようになりました。
1. ChatGPT
OpenAIが開発したAIアシスタントです。
マーケティングコピーの作成、記事の執筆、アイデアの提案など、様々なコンテンツ生成に活用できます。
2. Stable Diffusion
テキストから画像を生成するAIツールです。
商品画像、広告バナー、SNS投稿用の画像など、多様なビジュアルコンテンツを作成できます。
1. Snowflake
クラウドベースのデータプラットフォームです。コンピューティングとストレージを分離したアーキテクチャにより、柔軟なスケーリングと高速なデータ処理を実現。複数のクラウド環境で利用可能で、企業のデータ分析・共有ニーズに対応します。
2. IBM Watson
幅広いAI機能を提供するプラットフォームです。
自然言語処理や機械学習を使った業務改善が可能です。
スモールビジネスでITツールを導入する際のポイントをいくつか紹介します。
導入前に、どの業務を効率化したいのか、どのような課題を解決したいのかを明確にしましょう。目的が明確であれば、適切なツールを選びやすくなります。
すべてのツールを一度に導入するのではなく、優先度の高いものから段階的に導入していきましょう。無料プランや無料期間がある場合は、それらを利用して本当に役に立つかを判断しましょう。
新しいツールを導入する際は、使い方のトレーニングや定期的なフォローアップが必要です。使いこなせなければ、効果が出ないどころか、ツールに振り回されてかえって効率が落ちてしまう可能性もあります。
導入したツールが期待通りの効果を上げているか、定期的に評価しましょう。必要に応じて、使い方を改善したり、別のツールに切り替えたりすることも検討します。
高額なツールが必ずしも最適とは限りません。無料プランや低コストのツールでも、十分な機能を備えているものは多くあります。投資対効果を常に考えましょう。
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