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画像処理による製造現場改善:カメラ1台から始める品質改善・省人化

本記事では、製造現場の改善のために画像処理を導入するというアイデアを、基礎から実践的なポイントまでご紹介します。

画像処理で解決できる現場の課題

1. 目視検査の自動化

製造現場における検査工程は、多くの場合、作業者の目視に頼っています。しかし、人の目には疲労や集中力の限界があり、検査基準にも個人差が生じがちです。画像処理を活用することで、こうした目視検査を自動化できます。

具体的には、キズや欠けの検出、寸法・形状の正確な計測、部品の有無確認、取り付け方向の確認などが可能になります。これにより、検査基準が統一化され、記録の自動化も実現します。さらに、作業者の精神的・肉体的負担を大幅に軽減できるため、より創造的な業務に人材を振り向けることができるようになります。

2. 作業分析・改善

製造現場の改善活動において、現状把握は非常に重要です。画像処理システムを使えば、作業時間の正確な計測や動作分析、工程の可視化が可能になり、ムダの発見につながります。

例えば、作業者の動きを撮影・分析することで、無駄な動作や改善できる動線が明確になります。こうして得られた客観的なデータは、改善ポイントの発見だけでなく、新人教育の資料としても活用できます。データに基づいた改善提案は説得力があり、現場の協力も得やすくなるでしょう。

3. 在庫管理の効率化

製造業における在庫管理は、生産性や原価に直結する重要な業務です。画像処理を活用することで、部品の種類判別、数量カウント、在庫位置の記録、ピッキング作業の確認などが効率化されます。

特に棚卸作業は多くの工数を要しますが、画像認識技術を用いることで大幅な時間短縮が可能です。また、出荷前の最終確認に画像処理を導入することで誤出荷を防止し、在庫精度の向上にもつながります。リアルタイムの在庫状況把握により、適正在庫の維持も容易になるでしょう。

導入時の検討ポイント

1. 必要な機材

画像処理システムの基本的な構成は、カメラ、照明、PC、そして画像処理ソフトウェアです。カメラは用途に応じてかなり幅があります。それほど高精度でなくて構わない場合は、Webカメラのような数千円の汎用品でも使用できる場合があります。照明は特殊なものでなければ数万円程度から、PCは10〜20万円程度が目安となります。もちろんこれは実際の要件によってかなり大きく変動します。

機材選定では、検査対象の大きさや特徴に合わせたカメラの解像度と撮影速度、安定した撮影のための照明の種類と配置、そして処理に必要なPC性能を考慮する必要があります。特に照明は画像処理の成否を左右する重要な要素です。検査対象の材質や形状に合わせて、リング照明、バー照明、バックライトなど適切なものを選びましょう。

2. 導入アプローチの考え方

画像処理システムの導入においては、最初から完璧なシステムを目指すよりも、核となる機能から始めて徐々に拡張していくアプローチが、リスクとコストの面で優れていることが多いです。

導入前に優先順位を決め、段階的に機能を拡張していく方法を検討しましょう。検査項目の数、要求される精度、処理速度の要件、そして既存システムとの連携の複雑さなどによって、必要な対応は大きく変わってきます。まずは最も効果が見込める工程や検査項目に絞って始めることで、投資対効果を高めることができます。

3. 成功のための準備

画像処理システムを成功させるためには、いくつかの重要な準備が必要です。まず、判定基準を明確化することが不可欠です。「良品とはどのような状態か」「不良品の許容範囲はどこまでか」を具体的に定義しましょう。

また、学習や検証に使用する良品・不良品のサンプルを十分に準備することも重要です。さらに、安定した撮影環境の整備や、システム導入後の運用ルールの策定も成功の鍵となります。特に運用ルールは、現場の作業者と十分に協議して決めることで、導入後のスムーズな定着につながります。

クラウドとの連携で広がる可能性

1. データの活用範囲

画像処理システムとクラウドを連携させることで、その活用範囲は大きく広がります。検査結果の蓄積・分析、複数拠点でのデータ共有、長期的な傾向分析や予測、さらにはモバイル端末での確認なども可能になります。

例えば、全国の工場の検査データを一元管理することで、品質課題の早期発見や横断的な改善活動が促進されます。また、経営層がリアルタイムで品質状況を確認できるようになれば、より迅速な意思決定が可能になるでしょう。

2. AI活用への発展

画像処理システムで蓄積したデータは、AIの学習材料として非常に価値があります。将来的には、不良の予測や異常検知、最適な検査パラメータの自動調整、さらには人間が気づかない新規不良の自動検出なども可能になるでしょう。

特に深層学習(ディープラーニング)技術の発展により、従来の画像処理では難しかった複雑なパターン認識も実現可能になってきています。データを蓄積しながら段階的にAI機能を追加していくことで、システムの価値は継続的に高まっていきます。

導入ステップ

Step1:試験導入

画像処理システムの導入は、一気に全工程を対象にするのではなく、まずは1台のカメラで特定工程を撮影する試験導入から始めるのが賢明です。この段階では、画像処理の基本的な効果を確認し、現場オペレータからの意見を収集して課題を洗い出します。

特に重要なのは、現場の作業者が実際にシステムを使用する中で感じる使いやすさや改善点を丁寧に拾い上げることです。システムが技術的に優れていても、現場で使いにくければ定着しません。試験導入の段階でこうした課題を特定し、解決策を検討しておくことが重要です。

Step2:本格導入

試験導入で得られた知見をもとに、システムの仕様を確定し、必要な機材の選定・導入を行います。この段階では、ソフトウェアの本格的な開発と、運用ルールの整備も進めます。

特に運用ルールについては、異常発生時の対応フロー、メンテナンス方法、データのバックアップ体制など、長期運用を見据えた詳細な検討が必要です。また、現場作業者向けの操作マニュアル作成や研修も欠かせません。

Step3:水平展開

本格導入で成果が確認できたら、他工程への展開を検討します。この段階では、データ活用の範囲拡大やクラウド連携、AI活用なども視野に入れた発展的な検討も可能になるでしょう。

水平展開の際には、最初のシステムから得られた知見を活かし、より効率的な導入を進めることができます。また、複数の工程のデータを連携させることで、工程間の相関関係の分析なども可能になり、より高度な改善活動につながります。

外部ベンダーへの依頼のポイント

1. 仕様の決め方

外部ベンダーにシステム開発を依頼する際は、検査項目と判定基準、要求される精度、処理速度、保存するデータなどを明確にしておく必要があります。抽象的な要望ではなく、具体的な数値や条件を示すことが重要です。

例えば「キズを検出する」という要望だけでなく、「直径0.5mm以上のキズを検出し、その位置と大きさを記録する」というように具体化しましょう。また、開発の各段階で確認するべきポイントや承認プロセスも事前に決めておくと、スムーズに進行します。

2. 見積もりの確認ポイント

見積もりを確認する際は、機材費の内訳、開発費の算出基準、保守費用の範囲、追加費用が発生する可能性などを詳細に確認することが大切です。

特に注意すべきは、初期導入後の保守・運用費用です。システムの安定運用のためには継続的なメンテナンスが必要ですが、その費用が見積もりに含まれていない場合もあります。また、仕様変更や機能追加時の費用についても、あらかじめ条件を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

画像処理システムは、1台のカメラから始めて段階的に発展させることが可能です。まずは小規模な試験導入から始めることをお勧めします。

当社でも、画像処理システムの企画から開発までご相談いただけます。まずはお気軽にご相談ください。
また、弊社では画像処理技術を応用した、スクリーンショット自動作成サービス「atode」を提供しています。
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